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「ハレノヒケノヒ、二十四節気」 vol.1 ゆずを愉しむ

2016.10.30

土橋みゆき

はじめまして。土橋みゆきと申します。
このたびご縁があって、連載をさせていただくことになりました。よろしくお願いします。

普段は和の暦に寄り添いハーブを使ったお料理教室や、ワークショップ、
各種イベント、ケータリング、フードコーディネートなどを行っています。
この連載では、主に日本人が元々寄り添っていた暦、二十四節気を通して
ふだんの暮らしが楽しくなる、ちょっとしたアイデアや知識などをお伝えしたいと思います。

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まず、連載のタイトルにある「ハレノヒケノヒ」という呪文のような言葉ですが
ハレノヒ(ハレの日)というのは冠婚葬祭のいわゆる「非日常」を、そして
ケノヒ(ケの日)はそれ以外の「日常」のことを言います。
日常、つまりケの日がうまくいかないことは 気枯れる(ケガレる)とも言われていて
節目の日に人々はケガレを祓い、ケジメをつけていたのです。
そして、春夏秋冬をさらに二十四に等分した二十四節気に寄り添い、季節の節目、そして農耕の目安にしていました。

いよいよ11月に入りますと、秋晴れの過ごしやすい日も多くなりますが、11月6日ごろには二十四節気の立冬(りっとう)、暦の上では「冬」に入ります。(2016年の立冬は11月6日~)
「まだ過ごしやすいから冬じゃない」とか、「昔の暦だから今とは違う」
などと思われるかも知れませんが、実際に雲の形や空の色、地面から生えている植物たちは
ひそかに冬支度を始めています。
実際にこの頃は木枯らし一号が吹く時期です。

また、11月15日は「七五三」。この日にお子様の健やかな成長を願い、ハレの日ですので「晴れ着」を着て神社にお詣をする習慣があります。(今は特にこの日ではなく、前もって行う方も多いようですね)
元々は貴族のお祝いの行事で、一般的には江戸時代に広まったとされていますが
栄養事情が悪く、幼くして命を落としてしまうことも珍しくなかった時代でしたので
「よくこの日まで、無事に生きることが出来た」
と節目の日にわが子の健やかな成長に感謝をするという意味も含まれていたようです。

そして11月23日ごろから小雪(しょうせつ)に入り、いよいよ寒さを感じはじめる時期となります。(2016年の小雪は11月22日~)
この時期から銀杏の黄色が色づき、黄色い柑橘類が旬を迎えます。
そして、この時期を代表する黄色い柑橘類と言えば、やはり「柚子」ですね。
柚子には捨てるところがほとんどありません。そして冬を乗り切るための栄養価が豊富に含まれています。

柚子の皮をカップにゼリーを作ってみました。

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ゆずに含まれるビタミンCは、レモンの約2~3倍ともいわれ、日本の冬の風邪予防に欠かせません。
また、みかんの3倍といわれるクエン酸を含んでおり、疲労回復、美肌効果も期待が出来ます。
また、皮にも栄養がたくさん含まれていますので、ハチミツ漬けや、皮をお鍋に刻んで入れるのもおすすめです。
また食用だけでなく、生活の様々なシーンに使うことが出来ます。

私の利用法を少しだけご紹介いたします。
<手作り化粧水>
柚子の中身をくりぬいて、種は一か月焼酎につけて化粧水にします。種に含まれるペクチンでトロトロになるのです。下の写真は種を逆さまにしたところ。ペクチンのトロトロで種がくっついています。
柚子の種で作る化粧水は、冬に欠かせないスキンケアグッズのひとつになっています。

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<柚子キャンドル>
これは体の栄養ではなく心の栄養に。

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テーブルに柚子のキャンドルを。半分に切った柚子の皮の中にオリーブオイルを入れ、ティーライト用のタコ糸を入れるだけです。(くれぐれも火の管理にはご注意くださいね)
キャンドルの炎には「1/fゆらぎ」という揺らぎがありそれは川のせせらぎや
森林浴と同じ癒し効果が得られるといわれています。
少し冷える夜、テーブルにキャンドルを添えるだけで、ちょっと幸せな気持ちになれますよ。
そして柚子の形がなんとも可愛らしく、テーブルを更にほっこりさせてくれます。

私はかつてIT関連の仕事に携わり、日々、前に進むことだけを考えて過ごしていました。
でもある日、体調を崩したことをきっかけに、病院のベッドでハーブや植物の本を読み漁るうちに
「変わらなくても良い、いや、変わらないほうが良い」ものがたくさんあることに改めて気付かされたのです。

冬は寒い・・と片付けてしまうのではなく、二十四節気の冬にあたる六つの節気に寄り添って過ごすことにより、冬の楽しみ方が増えますよ。ぜひ、これから一緒に日本の季節の移ろいを楽しんでいきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は冬至の過ごし方についてご紹介いたします。

この記事を書いた執筆者

土橋みゆき

土橋みゆき(どばしみゆき)

料理研究家、日本こよみ暮らし協会代表 
日本の暦に寄り添った暮らしの提案、また、旬の食材やハーブを使った「おばんざい教室」を世田谷区で開催する他、メニュー開発、ケータリング、フードコーディネート、イベントなどに携わる。ガーデニングカタログ「オンリーワンクラブ」に”食べられるお庭”をテーマとしたガーデニングセットをプロデュース。

https://www.facebook.com/koyokura/