2017.09.23
こんにちは。シンガポールの山田陽子です。
今回はシンガポールから陸路でも行けるマレーシアのお茶どころ「キャメロンハイランド」に行って来ましたので、その様子をお伝えしたいと思います。
キャメロンハイランドはマレーシアの首都クアラルンプールから約150キロのところにあり、標高が1500mを超える高地のため年間を通して気温が20℃程度と東南アジアではとても涼しい場所です。クアラルンプールからバスで約4時間、シンガポールからも直行のバスが出ており、約9時間で行けます。この涼しい土地で1920年代後半からイギリス人を先頭にお茶の栽培、生産が始まりました。キャメロンハイランドにはいくつかの茶栽培をする会社が存在していますが、一番有名なのがBOH ティーです。
BOHティーは1929年にイギリス人実業家J. A Russellによって開業され紅茶を中心に栽培、製造を行っています。BOHはキャメロンハイランド内にいくつか茶畑をもっていますが、Sungei Palasの茶畑ではBOH Tea Centreとして観光客向けに茶畑の見学、茶工場の開放をしています。今回、私はキャメロンハイランドで生まれ育ったインド系マレーシア人のタクシードライバーさんに案内してもらいながら茶畑を訪れました。
茶畑は足元がきちんとしているところは観光客が自由に入ることができるようになっています。小高い山の斜面一面に広がる茶畑は圧巻です。ただ、案内をしてくれたドライバーさん曰く、最近はお茶の刈りすぎか茶畑の色が昔と比べてきれいではないと言っていました。昔はもっときれいだったよとのこと。茶摘みは基本的に機械を使用し、3週間に一度と日本と比べてかなり頻繁に年間を通して行われています。茶畑では朝早くから従業員が茶摘みをしていました。昨今、ここで働いているのは地元のマレーシアの人々ではなく、インドやネパールといった発展途上国の人々だそうです。ドライバーさんによると彼らがもらえる賃金はお茶の刈り高によるものなので、刈り方も雑になってきているのではないかということでした。少し残念ですね。
茶畑の見晴らしの良いところにはティールームがあり茶畑を眺めながらBOHティーを味わえます。休日になるとこのサロンは大混雑でお茶を飲むのにかなり待たなくてはいけないということです。もし、いらっしゃるときは定休日の月曜日を除いた平日に来るのがおすすめです。サロン隣の売店では様々な種類のお茶が購入できます。BOHティはシンガポールやマレーシアのスーパーでもよく見かけますが、普段小売店で見かけない種類のお茶も販売されているので思わず大量買いしてしまいました。紅茶がメインの商品であるBOHティですが、ハーブティや緑茶も販売されていました。緑茶も試しに購入して飲んでみましたが、やはり日本の緑茶とは違うなあという感じです。そして、そのすぐ近くには今でも使用することもある製茶工場が自由に見学できます。この日はラインを動かしていませんでしたが、中に入ると紅茶の香りがしてきました。
(写真上:外から見たティールームの様子)
場所が変わればお茶栽培の事情も異なるはずなので、色々な茶畑を訪れてみたいなと思いました。近いところだと、ベトナムにも多くの茶畑があるのでいつか行ってみたいなと思います。
シンガポールや東南アジアのお茶事情をレポートしてきたこの連載も今回の20回目ということで一区切りつけることになりました。読者の方々と連載の機会をいただいた日本茶アンバサダー協会代表理事満木さん、どうもありがとうございました。
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山田陽子(やまだようこ)
大学卒業後、日本で就職するも海外での就業の希望が諦められず、2011年末に一念発起し単身でシンガポールへ。現在、在住4年目。言語や文化の違いに戸惑いつつも、ローカルの友人にはJapanese Singaporean と言われる程、馴染んで楽しく暮らしています。昔から、家では日本茶を飲む習慣があり、日本の美味しいお茶を海外にも広めたいと思い日本茶アンバサダーとして活動することにしました。日本茶だけではなく中国茶や東南アジアのお茶文化のレポートも出来ればと思っています。