2017.05.31
あれだけ酸っぱいのに、顔がくしゃくしゃになるのに
どうして梅干しがこんなに好きなのだろうと、幼い頃から不思議でたまりませんでした。
母の手作りの肉厚で酸っぱい梅干しを食べると、なんだかスッキリするのです。
あの爽快感が子どもの頃から病みつきになっていたのかも知れません。
梅酒、梅シロップ、そして梅干し。
幼いころから、「うめしごと」は母の重要任務でした。
そして今は私に受け継がれています。
梅雨のじめじめした空気で何をするのも面倒になりがちなのですが
暑い夏を乗り切るためには、このお仕事を欠かすことはできません。
その中でも私が一番たくさん作るのが梅シロップ。
つまり梅酒のノンアルコールバージョンですね。
まず今回はこの梅シロップのレシピからご紹介をいたしましょう。
<材料>
梅・・1.5キロ
氷砂糖・・1キロ
焼酎またはホワイトリカー(消毒用)・・20ml程度
4キロサイズの保存用ガラス瓶
<作り方>
1.梅が傷つかないように洗っておきます。
2.爪楊枝でおへその部分をそっと取ります。 (写真左)
必ず爪楊枝を使います。酸化防止のため、金属製のは使わないようにしましょう。
3.梅をペーパータオルでよく拭いて、完全に乾いたら、密閉袋に入れて冷凍庫に一晩入れます。(写真中)
冷凍にするとシロップの溶け具合が良くなるのでこのひと手間は大事です。
4.ガラス瓶に焼酎、ホワイトリカーなどアルコールを瓶の内側にスプレーして ペーパータオルで拭き取る。
本来は煮沸消毒をしたいところですが、瓶が大きくてお鍋に入らないので、この方法で殺菌をするようにしましょう。(写真右)
5.梅と氷砂糖を交互に便に入れます。
6.このまま、毎日瓶を1~2回揺らして、3週間程度待てば出来上がり。
出来上がりの目安は氷砂糖が溶けた状態の時です。
お水や炭酸水でお好みの濃さに調整してお召し上がりください。
梅の実は6月から7月にかけてだいたいスーパーでは500gや1キロ単位で
ビニール袋に入って販売されていますが、それが一番おススメです。
大粒でも小粒でも大丈夫。
全体を見て実にへこみや傷があまりなければ、粒が完璧に揃っていなくても大丈夫ですよ。
梅には抗酸化作用、疲労回復効果、殺菌効果にも効果があり、
昔から「梅は三毒を断つ」と言われていました。
三毒とは
食毒・・食生活の偏りによる体内バランスの乱れ
水毒・・体内の水分の汚れ
血毒・・血液の汚れ殺菌作用
の三つの毒のことを言います。
身体を内側からキレイにしてくれるのですね。
また、疲労回復、アンチエイジング効果が期待できるクエン酸だけでなく、
リンゴ酸やピルビン酸など、食中毒防止のためにも強い殺菌、抗菌効果、また整腸効果もあります。
ただ、夏場のお弁当で食中毒防止になると言って梅干しを入れても
その梅と接している部分しか抗菌効果の効力はありませんのでご注意下さい。
ちょっと話が脱線しますが
すっかり梅の女王様と言っても過言ではない和歌山の「南高梅」は
和歌山県にある南部高校の園芸科の先生と生徒が5年の歳月をかけて行った調査の結果に選んだ
「高田梅」という品種が「南高梅」と改名されて現在に至っています。
南部高校、略して南高(なんこう)
○○北高校といった名前の地名を略して北高と呼んだりする、あの感じですね。
う~ん、そんなことを聞くだけで梅の香りとともに甘酸っぱい青春の味がする(笑)
そんな夏の風を運んでくれる梅たちが今年も愛おしく店頭に並び始めました。
皆様もぜひ、青春を回顧しながら「うめしごと」楽しんでみませんか。
次回は「正しい七夕の過ごし方」(予定)をお届けします。
《これまでの記事》
●vol.1 ゆずを愉しむ
●vol.2_運気UP正しい冬至の過ごし方
●vol.3_新年の愉しみ
●vol.4_暦の春
●vol.5春の苦み
●vol.6さの神様
●vol.7 八十八夜と暦の夏
土橋みゆき(どばしみゆき)
料理研究家、日本こよみ暮らし協会代表
日本の暦に寄り添った暮らしの提案、また、旬の食材やハーブを使った「おばんざい教室」を世田谷区で開催する他、メニュー開発、ケータリング、フードコーディネート、イベントなどに携わる。ガーデニングカタログ「オンリーワンクラブ」に”食べられるお庭”をテーマとしたガーデニングセットをプロデュース。
https://www.facebook.com/koyokura/