2016.12.04
こんにちは。
カネロク松本園の松本浩毅です。
第3回は私の日本では元祖として取り組んでいる”燻製”のお茶についてご紹介します。
”茶葉を燻す”。
これは日本茶ではタブーでした。
なぜかというとお茶の製造中に製茶機械の故障などにより
”煙の香りがついてしまった緑茶”ができてしまうことがまれにあり、
そのお茶は失敗作として売り物にならないからです。
ところが私は、失敗して燻してしまったのではなく自分で茶葉を燻しています。
なぜそんなことをはじめたのかと言いますと
『誰が飲んでも”特別”だと違いのわかるお茶』
がつくりたかったからです。
お茶のコンテストでは専門家の審査員が順位付けをしていきますので、
その審査基準に沿うようなお茶づくりを全国のお茶農家が目指します。
日々どうしたら一等がとれるのかを研究して努力して
「これぞ!」というお茶を出品するわけで、どの出品茶も凄いお茶のはず。
しかしその凄いお茶の差が一般消費者の方に理解できるかというと疑問に思うのです。
というか松本も判断がつきません・・・
より評価されるお茶作りを目指すことは生産者として当然です。
ですが、それとは別に『どこにもないお茶』が作りたいと松本は思っていました。
そういった思いをもちながら日本茶だけでなく海外のお茶を勉強していくなかで
ラプサンスーチョンに出会ったのでした。
「世界にはこんなインパクトの強いお茶があるのかぁああぁぁぁあああああ!」
世界中で一番飲まれているお茶は緑茶ではなく紅茶ですが、
その紅茶の発祥の地は中国の世界遺産である武夷山(下の写真)という場所なのだそうです。
そこでは松の木を燃やしその煙で茶葉を燻すことで香りをつけたお茶、
正山小種(ラプサンスーチョン)というお茶がつくられています。
その特徴的な香りは龍眼というフルーツや正露丸のような香りと呼ばれています。
その燻製された紅茶が中国から欧州に渡り、香りづけされたお茶の人気が出たことで
今では誰もが知るアールグレイという紅茶が生まれた、という歴史があります。
いまでは国内でもフレーバーティーといっても珍しくはなくなりましたが、
そのどれもが香料を使うか茶葉に香りのある素材をブレンドしたものです。
ですが、燻製という製法は香りづけに添加物を使用しないということも
生産者の技術としてチャレンジした理由のひとつでした。
ラプサンスーチョンを目指すのではなく
日本茶の茶葉から”どこにもないお茶”をつくりたいという
目標から始めているので、松本の燻製茶には正解がありませんから失敗の連続です。
緑茶・紅茶・焙じ茶をベースに燻製の方法や燃料の種類にも
いろいろな試行錯誤を続けています。
特徴的なスモーキーな香りのお茶を是非おためしください。
2016年12月からJ○L(大人の事情で伏字いれてます)のビジネスクラス機内食のお料理に
松本の燻製紅茶を使用していただけることになりました。
飛行機をご利用の方は思い出してください。
12月4日(日)5日(月)は奈良県庁にて開催される地紅茶サミット2016に参加します。
12月10日(土)11日(日)は東京浅草、都立産業貿易センター6階の
地球にやさしい中国茶交流会(エコ茶会)に参加します。
年末に関東関西にあちこち顔を出しますのでお近くのかたは是非いらしてくださいね♪
寄稿中の現在の農作業はひたすらに茶草場農法をしています。
寒くなりましたがこの作業をしていればあったかいですよ~(。-∀-。)
それではまた次回、は来年です(。-∀-。)ノシ 良いお年を。。。
追伸
カネロク松本園のホームページはただいま再構築中につきリンク切れとなってしまっています。
新しいホームページのオープンは一月末あたりになりそうです。ご迷惑をおかけいたします。
《これまでの記事》
●vol.1 ごあいさつ
●vol.2 日本の世界農業遺産を知ってほしい
松本 浩毅(まつもとひろき)
静岡県の専業茶農家カネロク松本園の長男に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。静岡県の農林大学校茶業科を卒業し22歳の頃に就農、現在34歳。専門家でなくとも飲めば特別だとわかるオリジナルなお茶を作りたいとの想いから、国内には存在しなかった茶葉を燻製にする製法を独自に研究開発。日本の世界農業遺産の周知にも力を注いでいる。島田市農業経営振興会、静岡県青年農業士、日本農業青年経営会に所属。
カネロク松本園HP:http://www.saumi-tea.com