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岐阜のお茶旅 vol.25_岐阜の銘茶 白川茶の里 白川町黒川

2019.07.17

 

岐阜の銘茶「白川茶」の産地、加茂郡白川町黒川は岐阜県の中濃地区の東に位置します。
町域の9割を山林が占め、標高の高低差は激しく居住に接する地は川沿いのごくわずかです。町の西端を木曽川水系の飛騨川が流れ、それにそそぐ佐見川、白川、黒川、赤川が扇状に東側に伸び、それらの地域に集落が点在します。
明治の頃、黒川沿いの地域は「黒川村」でした。昭和31年(1956年)白川町と合併したため、「白川町黒川」となりました。1000m級の山に囲まれた長閑な山里です。
人口は約2000人ほどで、豊かな山林資源を生かした木材産業や、山間に流れる清流が生み出す独特の気候風土を生かした茶の栽培が盛んです。

 

 

黒川には大きな製茶工場が幾つかあります。白川茶で有名な「株式会社ますぶち園」「株式会社白川園本舗」そして名古屋に本社がある「株式会社嘉木園」の自社工場があります。もちろん、茶農家さんが営む小さな茶工場もあります。
黒川でお茶に携わる人々のほとんどが兼業農家です。お米をはじめ、季節ごとの野菜や豆、雑穀などを生産し、新茶のシーズンには茶を摘み、製茶工場に出荷します。

 

 

黒川で自然農法を用いて農業を営む古田義巳さんです。古田さんは黒川で生まれ育ちます。学生時代からは都会で暮らし、40歳になった26年前に黒川の実家に戻り農業に携わりました。2000年6月、「田舎と都会の架橋 NPOむらざと」を設立します。「黒川で自然のままに、あるがままに生きていこう」古田さんの生き方は自然農法の歩みとともに育まれていきます。農薬や除草剤を使用しないで草や虫を敵とせず、自然のままに栽培し、黒川の仲間とともに地域おこしの活動に力を注いでいます。
古田さんの茶畑の中で写真を撮らせていただきました。もちろんこの茶畑も自然農法です。
山の斜面に溶け込むように茶の木が生えています。春に一番茶を手摘みにし、近くの製茶工場に出荷します。古田さんの茶畑の品種は「やぶきた」です。古田さんのお話では、黒川に根付いた在来種のお茶がとても美味しいとのこと。生まれた時から白川茶は日常の中にありました。古田さんにとって毎日美味しいお茶を飲む事は身についた習慣のようです。
来月からの「岐阜のお茶旅」は古田さんに黒川で茶業を営む人々を紹介して頂きながら、岐阜の銘茶「白川茶」をご紹介していきたいと考えています。

 

 

今年の5月に開催された「加茂の魅力 たっぷりツアー」では、古田さんが設立したNPO法人むらざと が主催する「朝市楽座」や黒川にある「株式会社ますぶち園」での茶摘み体験と茶工場見学が盛り込まれています。そして、7月7日、白川町の茶畑で大きなイベントが開催され話題となりました。

 

 

制限時間内で一斉に茶摘みをする人数でギネス世界記録に挑みました。参加者576人が5分間休まずに茶葉を摘んだとして新しい公式記録に認定されたのです。白川町や東白川村の茶業関係者らでつくる「白川茶de茶レンジ実行委員会」が茶の消費拡大に向けた話題づくりとして企画しました。

 

 

近頃、黒川では若い人達が移住し、農業に携わる人達が出てきました。美しい山間の小さな農村。昔からの営みが受け継がれ発展し、町や都会に潤いを与えています。黒川の清らかな空気の中で育まれる白川茶の魅力を感じて頂ければ幸いです。

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園
●vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁
●vol.17_郡上八幡 城下町に栄えた茶道文化 町屋カフェ さいとう
●vol18_名古屋栄のお抹茶専門店 茶々助 お抹茶を味わう日
●vol19_近江茶の老舗 中川誠盛堂茶舗 日本最古の茶園のお茶が蘇る「日吉銘茶」
●vol20_伊深の里から、新たな発信。日本茶と日本古典芸能の世界へ。茶霞(さか)O’carre(オキャレ)
●vol21_伝統の美濃白川茶をスタイリッシュにアプローチ 美濃加茂茶舗
●vol22_美味しい「いび茶」を求めて 岐阜市の老舗 明治屋茶舗
●vol23_郡上の美味しいお茶と昔ながらのお団子を召し上がれ 団子茶屋郡上八幡
●vol24_岐阜の南西端の美しい里山 美濃上石津茶 平塚香貴園

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。