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日本茶アンバサダーレポートinシンガポール」Vol.8

2016.03.16

こんにちは、シンガポールの山田陽子です。こちらはまだ雨季が終わらず、ジメジメする日が多いこのごろです。今回はシンガポールで一番の祭事とも言えるチャイニーズニューイヤーについてお茶との関係も含めてお伝えしたいと思います。

今までも何度かお伝えしてきましたが、シンガポールの国民の80%が中華系ということで、実際のカレンダーの新年ではなく旧暦の新年、つまりチャイニーズニューイヤーをより盛大に祝う傾向があります。チャイニーズニューイヤーの元旦とその次の日は国民の祝日となっていますし、大晦日は多くの企業が半日で営業を終了としたり、シンガポール系や中国系企業は元旦から1週間程度休みとする企業もあります。2016年は2月8日が元旦でした。また、伝統的には元旦から15日間がチャイニーズニューイヤーと言われています。

この時期、街のイルミネーションはクリスマスとカレンダーの新年を祝う装飾から、チャイニーズニューイヤー用のものに変わります。白やブルーを基調とした色から、縁起の良いとされる色である赤や金色を基調としたより華やかな色合いに一気に変わり、人々の気分も盛り上がってきます。新年に備えて一年で一番買い物をする時期なので、百貨店なども大忙しです。

写真(1)
チャイナタウンのイルミネーション

この時期の中華系の人々に受けつがれる習慣としては、大晦日はReunion Dinnerといって近い親族で集まって夕食を共にします。翌日の元旦から数日は新しい洋服を着て、新しい靴を履いて親戚宅や親しい友人宅へ挨拶をしに回ります。元旦は一番年上の親戚宅にその他のメンバーが訪れるというのが伝統です。そして、未婚のメンバーは既婚者から紅包(アンパオ)と呼ばれる、日本で言うお年玉がもらえます。このあたりは、今ではあまり無くなった日本の新年の習慣と似ていますね!

そして、伝統的に受け継がれている食文化がいくつかあります。訪問客をもてなすためにお菓子やフルーツをお茶と共に振舞うというのが伝統です。こうしたお菓子やフルーツは中華文化で縁起が良いとされる数字の8にちなんで振舞われます。写真のように8種類を8角形のトレーに乗せて出されるというような感じです。

写真(2)

ただ、一般的な近代のシンガポールの家庭ではここまで伝統に従っているわけではないように感じます。私が訪問したことがある、いくつかの家庭では複数のお菓子を八角形のトレーに用意して訪問客がいつでも食べれるようにテーブルに並べていたりもしますが、それ以外に保存しやすい箱に入ったものを並べておくというのが一般的です。シンガポールで一般的に食べられているのが写真に出しているような、パイナップルタルトやロールクッキー、バークワと呼ばれるバーベキューポークです。

写真(3)

また、シンガポール人は中国茶を飲むという習慣も薄いのでお茶を出すという習慣も省略されているのが現状です。ローカルの友人にも聞いてみましたが、中国茶を飲むという習慣は馴染みがないとのことでした。シンガポールはイギリス領であったという歴史もあり、どちらかというと紅茶文化のほうが一般的だということが影響しているのかも知れません。右上の写真の中にも写っていますが、シンガポール人のお宅に行くと良く出てくるのがパック入りのお茶です。菊花茶やレモンティーなどが用意されていることが多いです。暑い国でもあるので、お湯を使ってお茶を淹れて飲むという文化が根付きにくいのでしょうか。または、夫婦共働きというのが古くから一般的な文化で、家で料理をするということも少ない国なのが影響しているのでしょうか?次回、日本茶のイベントをする際にローカルの方々にお茶を淹れるということについてどう考えているのか聞いてみたいと思います。

それではまた、来月!

この記事を書いた執筆者

山田陽子日本茶アンバサダー

山田陽子(やまだ ようこ)

大学卒業後、日本で就職するも海外での就業の希望が諦められず、2011年末に一念発起し単身でシンガポールへ。現在、在住4年目。言語や文化の違いに戸惑いつつも、ローカルの友人にはJapanese Singaporean と言われる程、馴染んで楽しく暮らしています。昔から、家では日本茶を飲む習慣があり、日本の美味しいお茶を海外にも広めたいと思い日本茶アンバサダーとして活動することにしました。日本茶だけではなく中国茶や東南アジアのお茶文化のレポートも出来ればと思っています。