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清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.16「JGAP認証」

2018.01.11

新年あけましておめでとうございます!今年も引きつづき、三重のかぶせ茶を1人でも多くの方に知っていただきファンになっていただけるよう、精進してまいります!また昨年特に感じた「お茶を楽しむこと。ENJOY!日本茶」を、商品やかぶせ茶カフェのメニューやイベントにしていけたらなと感じています♪どうぞ今年も三重のかぶせ茶と私をよろしくお願いいたします!!

今年のお正月も清水家では例年通り、紅白歌合戦を見ながら年越しそば→氏神様「足見田神社」に初詣&ご祈祷→帰宅し就寝→元旦にお寺さん「一乗寺」参拝というコースを家族7人で過ごしました。
毎年恒例であり、お楽しみがコレ↓

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お寺さんでの「書き初め」です!今年もワイワイ、ヤイヤイみんなで言いながら書きました。1年間本堂内に掲示していただけるので、わが家は毎年本気です(笑)

茶園管理はというと、お茶畑は只今冬眠中。冬の時期の茶農家は製茶機械や農機具の整備、農業資材の確認、茶園の整備など、普段はなかなか手が回らない部分の作業を行っています。それにプラス、わが家では今年「JGAP認証」をとるための準備をしています。
「GAP認証」ってご存知ですか??聞いたことありますか?某洋服屋さんと同じ名前ですが(笑)
実はGAPとは、農業において食品安全、環境保全、労働安全の持続可能性を確保するための、生産工程管理の取組のことをいいます。活字にするとなんだか難しい・・・。
要は「食の安全と、環境保全に取り組みながら、安全に働いている農場です」という証明を取得して、より消費者さんに安心してもらおうという取組です。
今、日本ではまずは2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、認証農場を増やすことに力を入れているようです。外国からの選手やお客さまに、メイドインJAPANの農作物を安心して食べていただきたいですもんね!
茶業界でもこのGAPへの取組はどんどん進んでいるらしく、大手飲料メーカーさんは今後GAP認証の茶園、茶農家からのみ茶葉を購入するようになるとか・・・。わが家のある三重県四日市市水沢町にもこのGAPの風は吹いてきており、わが家も今年認証をとることを目指して、整備に取り組んでいます。

 

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わが家が指導を受けているのは日本バージョンの「JGAP」日本のよい農業のやり方の認証取得のための指導です。昨年4月から本格的に指導を受け、指摘があったところは改善しています。

例えば・・・
・日々の作業記録 これまでは自己流の作業記録でしたが、指導を受け様式に沿ったものに変えました。作業内容、使用した肥料の量、圃場の場所、農機具の使用時間なども明記します。
・圃場の把握 これまでは自己流の茶園名で管理していましたが、指導を受けきちんとした住所で管理することになりました。品種や定植時期でも区別するため、これまで30区分だったのが60区分になりました!ビックリ!
・農業資材の在庫管理 これまでは目分量のところを、表に記入するようにしました。在庫数が分かるようになりました。
・農薬の在庫管理 鍵・カメラ付きの倉庫に保管するようにし、これまでは年1回の在庫管理(棚卸し)でしたが、使用中の動きもすべて記録するようになりました。
・製茶工場の危険箇所 やけどの危険がある箇所にカバーを付けたり、衣服が吸い込まれそうな箇所に網を付けたりと、作業中の事故の危険を減らしました。

など、まだまだいっぱい改善したことがあるのですが、書ききれないのでこれぐらいに。

GAPやJGAPの詳しいことはこちら→http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/

実は私、このような制度は消費者さんの安全のためだけに、生産者が取り組む制度だと勝手に思い込んでいました。正直めんどくさいし、費用もかかるし、うちのような家族経営の小さい農家にメリットあるのかな?と。

わが家では主に主人が担当しているのですが、書類を揃えたり、とにかく作業が終わると記録を書いたり、講習に出かけたり、とにかく大変そう。でも話を聞いていると、消費者さんだけじゃなく、生産者にもメリットがあることに気が付きました!
それは「コスト削減」と「作業の安全」です!わが家は家族経営の為、外部の方が作業管理に入ることはほとんどなく、いわゆる自己流でこれまで農業資材の管理をやってきました。しかも、家族全員O型という(血液型は関係ないかも?)みんなあまり細かいことは気にしない大らかなタイプ。資材の在庫も目分量で確認し、購入したりでしたので多すぎたりし無駄な費用もかかっていました。これからは無駄をなくし、コスト削減につながると思います。
また安全マニュアルに沿って工場内を改善することで、私達労働者側も安全に作業する環境を整えるようになってきました。以前にもお話しましたが、親友が昨年作業中にケガをしましたので、農業機械や製茶機械の便利さと怖さを再認識し安全に努める事が一番大事だと思っています。

なんだか堅くるしいお話になってしまいましたが、言ってしまえば生産者の当たり前のことをもう一度第三者に見てもらおう!ということですね。自己流が多かったわが家には茶農家としてステップアップできる良い制度だと思い、これからも取り組んでいこうと思っています。

ここでお知らせ。
2月2日(金)3日(土) 東京日本橋「三重テラス」2階にて四日市市のイベントが開催されます!!四日市萬古焼の体験や展示に加え、萬古焼急須で淹れたかぶせ茶の試飲と和菓子の試食がありますよ。
3日(土)には四日市茶農家女子会として私もお手伝いさせていただきます!かぶせ茶の入れ方体験や、かぶせ茶料理レシピで作ったデザートの試食を行います♪
お近くの方、ぜひお立ち寄りください。お待ちしておりまーす!!

三重テラス→http://www.mieterrace.jp/

 

 

《これまでの記事》
●vol.1三重の茶畑からこんにちは
●vol.2 へぇ~、三重県お茶事情。
●vol.3 かぶせ茶の楽しみかた
●vol.4 「ようこそ!かぶせ茶カフェへ」
●vol.5 「冬の茶畑と茶農家」
●vol.6「ise-chaのある生活」
●vol.7 「お茶植え」
●vol.8「新茶2017」
●vol.9 『新茶無事終了』
●vol.10 『夜のお仕事』
●vol.11 『かぶせ茶氷』
●vol.12 『お茶の品種』
●vol.13 『秋番茶刈り採り中です!』
●14 『滋賀 信楽朝宮へ行って来ました!』
●15 「冬仕事とみえセレクション」

この記事を書いた執筆者

清水加奈

清水加奈(しみずかな)

三重県の専業茶農家(有)マルシゲ清水製茶の長女に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。25歳の頃結婚と同時に就農。2010年に1人でも多くの方に三重のかぶせ茶を知ってもらい、ファンになってもらいたいという想いから『かぶせ茶カフェ』を開業。農業女子プロジェクトメンバー、四日市茶農家女子会メンバー、茶育指導士、二児の母。
★マルシゲ清水製茶HP: http://marushige-cha.jp/