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ハレノヒケノヒ二十四節気vol.3_新年の愉しみ

2016.12.31

突然ですが、皆さんはお正月がお好きですか?

実は私、子どもの頃からお正月が苦手でした。
なんだか家にいても堅苦しくて、滅多に会わない親戚にひたすら気を遣っていたことを覚えています。
そして、憂鬱だったのがお年玉。
「あんな楽しみなものはなかったでしょう?」
と言われそうですが、
次女の宿命、永遠に長女のお年玉の金額を抜くことは無理だったのですから。
ちょっと遅く生まれただけなのに、この不条理。今でも忘れられません。(我ながら執念深いなぁ(笑))
なんてネガティブな出だしで申し訳ありません。
今思えば、お年玉を頂けるなんて本当にありがたいことだったと思っています。
(お年玉を渡す側も結構大変だということが大人になってからよくわかりました(笑))

さてさて、年賀状、年末大掃除、買い出し、おせち料理や新年の準備と忙しい日々が続き
皆さんがホッと一息するのは新年を迎えてからになるのでしょうか。

新年を無事に迎えたら、まずは福茶をいただきましょう。

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福茶とは、元日の朝一番で汲んだ「若水」を沸かし
梅干し1個、塩昆布 ひとつまみ、煎り大豆3粒 を入れて頂くもので
おめでたいお茶として伝えられており
昆布→よろこぶ 豆→まめまめしく 梅→縁起のいい花、毒消し
という意味が含まれ、「若水」は邪気を祓うと言われています。

実際に元日の朝に水を汲みに行くと、日本人にとって水がどれだけ神聖なものであったのかということが
朝の澄んだ空気とも相まって、その透明な流れに耳を傾けるだけでもしみじみと実感します。
心洗われるというのはこういうことを言うのでしょうね。

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そして、お正月のお楽しみといえばおせち料理。
このお写真は、私が主催しているお料理教室で作っていただいたお正月のテーブルです。
数の子のガーリックオリーブオイル漬け、豆腐のテリーヌ、田作り、手毬寿司など数品が並びました。
おせち料理に込められた意味のある素材に敬意を表し、少し今風にアレンジをしています。
ちなみに、ちくわとアスパラガスとブロッコリーがあれば“エディブル門松”(笑)が作れますよ(写真右)。

このように、お正月に縁起の良い食べ物で歳神様をお迎えし、おもてなしをする期間を
「松の内」と呼んでいます。
新年、関東では松の内は7日までという地域が多いですが、関西では15日までが松の内という地域が多く
松が明けると、しめ縄やお正月用の飾りを外します。

そして毎年1月15日は小正月。朝に小豆粥を頂く風習があります。
枕草子や土佐日記にも登場しますので、ずいぶんと古い習慣ですよね。
小豆は邪気を祓うと弥生時代から伝えられており、日本人に無くてはならない縁起の良い食材です。
冬のむくみも取ってくれるので、お粥が苦手な方は小豆を入れた葛湯はいかがでしょうか。
心も身体も温まりますよ。

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小正月は女正月とも言われ、年末年始忙しかった主婦たちを労う女性のためのお正月とも言われています。
関西の一部地域では、お正月に使った鯛や鰤のアラや骨を使ったお出汁をいただいたことから
「骨正月」と言う呼び名もあるそうです。まさに上方の知恵、「始末の料理」ですね。
ちなみに、この日は地域によって男性が家事の一切を行うところもあるそうですよ。
それってどこ?どこだ!(笑)

私がこのような風習を伝えていきたいと思った理由は
日本の暦というものは、知れば知るほど自然への感謝の気持ちが溢れると共に
親から子へ、子から孫へとの思いやりで溢れていることに尽きます。
特に新年の過ごし方にはその心が深く見えるような気もいたします。

ハレノヒの準備のためにケノヒは存在します。
そしてハレノヒの中でも日常という時間は流れます。
例えば元日の朝の朝、窓を開けた瞬間の空気が美味しかったり
お客様を送った後に見上げた星空がとてもキレイだったり
頑張った人だけにわかるご褒美の風景があるのかも知れません。

そんな一瞬の美しさに感謝できる人でありたいなと思います。

新しい一年が皆様にとって素晴らしい日々になりますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は 暦の春 をご紹介します。

《これまでの記事》
●vol.1 ゆずを愉しむ
●vol.2_運気UP正しい冬至の過ごし方

この記事を書いた執筆者

土橋みゆき

土橋みゆき(どばしみゆき)

料理研究家、日本こよみ暮らし協会代表 
日本の暦に寄り添った暮らしの提案、また、旬の食材やハーブを使った「おばんざい教室」を世田谷区で開催する他、メニュー開発、ケータリング、フードコーディネート、イベントなどに携わる。ガーデニングカタログ「オンリーワンクラブ」に”食べられるお庭”をテーマとしたガーデニングセットをプロデュース。
https://www.facebook.com/koyokura/